民主党「次の内閣」の文部科学部門、いじめ・体罰対策ワーキングチーム(WT、座長・林久美子ネクスト文部科学大臣)の合同会議が6日朝、国会内で開かれ、いじめ問題の実態と党として準備を進めている議員立法「いじめ対策推進法案(仮称)」に関する見方を聞くため、法政大学教授・教職課程センター長の尾木直樹氏、子どもたちの幸せを守るため、いじめのない社会の実現を目指して活動するNPO法人ジェントルハートプロジェクト理事の小森美登里氏を迎え、1時間半にわたってヒアリングを行った。

林久美子ネクスト文部科学大臣
政権交代前も政権時にも一貫してチルドレンファーストの政治を行ってきた民主党としては、子どもたちにとって深刻ないじめの問題に真摯に向き合い、子どもたちの目線で改善への道を探るため党一丸となって取り組んでいる。開会のあいさつに立った林WT座長は「このいじめ問題にしっかりと対策を講じて、子どもたちに安心で安全で健やかな環境をつくっていくための法整備が必要だろうということで検討を重ねてきた」と報告し、第一線で子どもたちの問題に対処し多くの提言も示されている尾木、小森両氏から「わが法案についてご意見を賜りたい」と求めた。

あいさつに立つ海江田万里代表
会議には海江田万里代表も出席してあいさつに立ち、「民主党はチルドレンファーストということで子どもの問題にしっかり取り組んできたが、昨今の状況はまさに教育の危機であると同時に日本の国の危機である。国の秩序を根本から揺るがしかねないと思っている」との見方を示し、民主党が準備を進め前日5日に行われた「次の内閣」閣議において了承された議員立法「いじめ対策推進法案(仮称)」に対してご意見を寄せて欲しいと要請した。
滋賀県大津市の中学2年生のいじめ自殺事件に関する第三者調査委員会の委員を務めるなど「いじめの問題に30年間関わってきた」という尾木氏からは、いじめの実態と対応の現状、解決に向けた法整備のあり方等について話があった。

法政大学教授の尾木直樹氏
いじめは「ふざけ・遊び・やりやられる行為」のなかから生まれ定着化することがほとんどで「いじめではなく対等な関係のふざけ」と認識することが多いため、いじめの発見と加害者指導の困難さにつながること、教員の多忙化と学校選択の自由化による大規模校化等によっても発見が困難になったとの指摘があった。また「仲間内のふざけ」から発展しているケースが大半を占めることから加害者・被害者が入り組んでおり「加害者」の限定は難しく「停止処分」対象者がクラスの大半になる可能性もあり、「加害者の厳罰指導の効果」を疑問視する見方も示された。さらに、学校や教育委員会の隠ぺい体質や「責任を回避するためになかったことを事実としてつくりあげる」虚構体質がいじめの問題をより深刻にしていること、スクールカウンセラーが生徒指導の下請け機関に位置付けられるなど本来の「外部性の確立」機能を発揮していない点なども指摘された。
そのうえで「いじめは人権侵害の犯罪、違法行為であると社会的に毅然として位置付けること」が大切だとして法整備の重要性に言及。民主党案については「初期段階でどう対処するか」「子どもたちのいじめ防止への参加をどう働きかけるか」「常時対応できる組織をどう作るか」といった点を抑えているとして、「ものすごく評価していい」「体系立てて、すぐにでも動ける状況ができている」と評した。

ジェントルハートプロジェクト理事の小森美登里氏
小森氏からは「私は15年前にひとり娘をいじめ自殺で失った遺族」だとして、その経験と多くの遺族の声をもとに提言が示された。小森氏は民主党案について「私たちが実現してほしいと望んでいたことが多く含まれた」として、私立学校を対象範囲に入れたこと、自殺被害者の親の責任を問わない内容となったこと、厳罰化を求めなかったこと、初動捜査の確立と家庭・学校での情報共有を明文化した点に評価の声を寄せた。