党税制調査会・社会保障と税の一体改革調査会合同会議総会が29日午後、国会内で開かれ、約120人の国会議員が参加して約9時間にわたって議論し、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%とする税制抜本改革案骨子が同日深夜に示され、了承された。30日の政策調査会役員会でも了承された。
案には「私たち政治家が、議員定数削減や公務員総人件費削減など自ら身を切る改革を実施した上で、税制抜本改革による消費税引き上げを実施すべきである。以上については何等かの形で閣議決定する」「前回総選挙において付託された政権担当期間中において、消費税率の引き上げは行わない」「名目・実質成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、引き上げの停止を含め所要の措置を講ずるものとする規定を法案に盛り込む」「与野党協議を踏まえ、法案化を行う」旨が盛り込まれた。
野田佳彦代表(総理)も途中から参加し5時間近く議論に加わった。
総会途中であいさつに立った野田代表は、社会保障を持続可能なものにするためには安定した財源の確保が不可欠だとの認識を示すとともに、「社会保障に充てるということは、年金、医療、介護、あるいは子育て支援に充てるということ。消費税という形で国民のみなさんにご負担をお願いするけれども、それは一番国民の皆さんが心配している社会保障分野に還元されるということを、きちんとご説明していかなければいけない」とも述べ、社会保障に充てることを、会計上も予算上も明確に区分することを国民の皆さんにしっかりと説明をしていかなければならないとした。
そのうえで「一番苦しくて、一番逃げてはいけないテーマは、私は社会保障と税の一体改革だと思う。苦しいから次の政権にまかせよう、消費税は上げなければいけないがいつかやればいいだろうという議論がこれまでたくさんあった。だけど、もうその猶予はない」と指摘。「政権与党というのは、一番つらいテーマ、苦しいテーマから逃げないことだと思う。そのなかでも最も苦しいテーマをわれわれは今、預けられている」と述べ、生産年齢人口が年々少なくなっているときに、これ以上結論を先延ばしすることはできないと強い決意を表明。年度内の法案提出に向け「少なくとも素案、これは税率と上げる時期を決めるということをもって、初めて素案になりうる。ぜひ具体的に素案のなかにいれていただきたい」と求めた。
野田代表の発言要旨
連日連夜にわたり、同志のみなさまにおかれましては社会保障と税の一体改革素案をめぐって熱心なご議論をいただいております。年の瀬に地元活動も多忙な折、このように国のためにお時間をお割きいただき、ご議論いただいていることに冒頭感謝を申し上げます。
さまざまなご意見があることを私も承知しております。議事録も拝見させていただきました。本当であればもっと早い段階にこの議論の場に参加をしなければならなかったと思います。しかし、どうしても外せない外交日程がありまして、今日こういう段階で発言をさせていただくことになりました。
政治改革 議員定数削減法案早期に国会提出し早期成立を期す
直接の本体の話に入る前に、関連のある議論から私の思いを皆さまにお伝えしたいと思います。まずは政治改革です。本来であれば1票の格差を是正し、定数を削減し、ということを先の臨時国会の間に何とか野党を巻き込んで成案を得ていなければいけなかったと思います。ただし、ぜひ皆さまにご理解いただきたいのは、先般の臨時国会は復興予算が加わっておりました。野党との立ち位置という問題がありました。われわれの事情もあるけれども、幅広く野党の皆さんのご意見をお伺いしながらまとめていくというのが私どもの間合いの取り方であったのです。
ただし次の通常国会は、日本にとって大きな正念場です。だからこそ野党の皆さんにも協力を呼びかけていくことはこれからもやっていきますが、少しスタンスは攻めにいかなければいけないと思っています。すなわち、われわれが考えている政治改革はこういうものですということをまとめて、先に法案を提出して、ボールは相手にあるというなかで、成立を全力を持って期すということが大事だと思います。
定数削減。私どもの考え方はまとまっております。これも早期に国会へ出して成立を期すように、政治改革推進本部長の樽床伸二幹事長代行には指示をしたいと思いますので、ぜひ皆さまのご協力をお願いいたします。
民主党という集まりは政治家の集団ではない。政治改革家の集団であるということを、力強く国民の皆さんにお示ししようではありませんか。
行政改革 公務員給与削減法案成立、特別会計改革、行革をやりぬく
二つ目は行政改革であります。公務員給与削減法案、残念ながら先ほどの定数削減とともに先の国会では実現することができませんでした。これも野党との間合いの問題です。給与削減、人件費削減は本当は消費税の議論とセットではありません。復興財源です。それを忘れてはなりません。いま現場でご努力いただいて、あるいは政党間で協議をいただいていますが、政党間の協議がまとまるように全力を尽くしますが、先ほどの政治改革と同じように、われわれがボールを投げるほう、ということをやらなければいけないと思います。
そしてそれだけではありません。特殊法人の延長線上で、これまで掲げてきた独立行政法人改革、公益法人改革をやりきらなければなりません。そして特別会計改革、小泉改革をわれわれは批判をしました。なぜならば特会改革と言っても31あった会計を17にした。表向きは改革に見えるけれども勘定が変わっていないのではないかと言いました。今度は勘定も含めた特会改革をやり抜きたいと思います。深堀をしたいと思います。
私は政権交代前の総選挙で、自分の選挙区でそして皆さんの応援に行って申し上げたことがあります。「政権交代の意味は何か。さまざまなところに日本の政治、財政はシロアリがたかっている。シロアリを退治して働きアリの政治を実現しようと申し上げました。その原点に立ち返って特会改革、行革をやりぬきたいと思います。
これまでは政権をいただいてから約4カ月近く、先ほど申し上げたように、丁寧な国会運営を心掛けてきました。ねじれている以上、それを避けて通れません。だけども来年は、国民のための年であります。われわれが掲げてきた政策を、思い切って、悔いのないように打ち出して、そして全力を尽くして成立を期す。この行革にも臨んでいく決意です。
新成長戦略、日本再生戦略基づき日銀と連携しデフレ脱却をやり抜く
あとは社会保障、財政とセットの話になる経済です。昨年の6月に決定した新成長戦略で、実質成長率そして名目成長率、これは目標を掲げています。3%、2%、これを実現することに死にもの狂いにならなければなりません。新成長戦略の加速、そして今、まとめた日本再生戦略の基本方針に基づいての、あらゆる分野にきちんと経済を、がんばっているなと思っていただける方策を打ち出していきます。
皆さんがご心配いただいているのは、金融との関係だと思います。デフレ脱却のためには、日銀と緊密に連携していかなければなりません。これまでもやってきたつもりです。ですけれども、そこがまだ足りないというご意見が多いのだと思います。ひざ突き合わせて、定期的に日銀総裁と、いかにデフレ脱却できるかの議論を国民の皆さまにも見えるように、しっかりとやり抜いていきたいと思います。
持続可能なものにすべく社会保障と税の一体改革をやり抜く
そのうえで本体の一体改革の話でありますが、細川律夫調査会長、長妻昭事務局長を中心に、社会保障改革の素案をおまとめいただきました。ご努力に心から感謝申し上げたいと思います。社会保障を持続可能なものにすることは、まさに多くの国民が望んでいることであります。私自身も何回か予算編成を経てきて、痛感をしたことがあります。特に一番苦しかったのは、基礎年金の国庫負担2分の1に充てるところ。これはわれわれが政権を担ってからではなくて、もう自公政権のころからウルトラCのぎりぎりの努力でようやくそれを実現してまいりました。
埋蔵金を充てるなどいろんなことをやってきました。でももうこのやり方は限界だと思います。だからこそ安定した財源を確保しなければなりません。しかも自然増が毎年1兆円を超えるという状況です。その増える1兆円をまかなうために、公共事業を削ったり、科学技術費の伸びを抑えたり、いろんな努力をしてまいりました。このひずみも大きいと思います。
社会保障に充てるということは、年金、医療、介護、あるいは子育て支援に充てるということです。消費税という形で国民のみなさんにご負担をお願いするけれども、それは一番国民の皆さんが心配している社会保障分野に還元されるということを、きちんとご説明していかなければいけないのだろうと思います。だからこそ、社会保障にきちんと充てるのだということを、会計上も予算上も明確に区分するということをもって、国民の皆さまにしっかりとご説明をし、お訴えしていかなければならないときであります。本当はもっと前にやっておくべきことだったと思います。
残念ながら私の政権は何かをやりたいということ以前に、やらなければならないことのつけがいっぱい来ていますが、一番苦しくて、一番逃げてはいけないテーマは、私は社会保障と税の一体改革だと思います。苦しいから次の政権にまかせよう、いつか決めればいいだろう、消費税は上げなければいけないけれどもいつかやればいいだろう、そういう議論がこれまでたくさんありました。だけど、もうその猶予はありません。
私は学生時代に政治学を学び、政治のあるべき姿を30数年、ずっと考えてまいりました。29歳のときに地方議員になり、バッジをつけて四半世紀になります。やりたいこともいっぱいあります。ですけれども、この困難な時期に内閣総理大臣を引き受けて、逃げてはいけないこと、子どもや孫のために、苦しいけれども今結論を出さなければいけないこと、ここから逃げるつもりはありません。今われわれが逃げたら、この国はどうなるのでしょうか。
社会保障を支える。そして財政規律を守っているというメッセージがなければ、あまり欧州の危機のことを、ことさら誇大に申し上げるつもりはありません。
だけれども想定外のことが起こって、今年、日本は多くの困難に見舞われました。想定外ではない大きな危機が来るかもしれません。その危機感をもって、私は危機管理の意味からも、社会保障と税の一体改革はやり抜かなければいけないと思っています。
政権与党の責任のもと、逃げずに年度内法案提出へ 素案取りまとめを
この日本の未来に責任をもたなければいけないとき、政権与党というのは、一番つらいテーマ、苦しいテーマから逃げないことだと思います。そのなかでも最も苦しいテーマをわれわれは今、預けられています。ここをぜひ、皆さんと乗り越えていきたいと思います。
生産年齢人口が少なくなっているときに、これ以上結論を先延ばしすることはできません。ぜひ皆さん、お力をお貸しください。私も政治家としての集大成の気持ちでこの思いを皆さんにお訴えをしています。
残念ながら同志の皆さんのなかから、離党届が出されました。極めて残念なことです。それぞれの思い、深い思い、重たい思いからだと受け止めます。だけども、そういう困難があったとしても、さっき申し上げた通り、この国の将来のために、今避けては通れないこのテーマ、われわれが背負い込んで結論を出そうではありませんか。
ぜひ皆さん、少なくとも素案、これは税率と上げる時期を決めるということをもって、初めて素案になりうると思います。ぜひそこは具体的に素案のなかにいれていただきたいのです。
素案をつくって野党との協議をする、いろいろご意見があるでしょう。次は野党が苦しい番かもしれません。しっかりとそのうえで大綱をつくり、年度内に法案を提出する、このプロセスをゆるぎなく、たどっていかなければならないのです。ぜひそのところを皆さまご理解をいただいて、これからのご議論をしていただけるように、改めてお願いを申し上げさせていただきます。