活動報告
2009.06.23
「アメリカ人のワーク・ライフ・バランス」に関する勉強会を開催


 6月23日(火)、男女共同参画推進本部は未婚者支援・少子化問題対策勉強会の5回目として、『稼ぐ妻・育てる夫』(勁草書房)を著した経済誌記者の治部れんげさんをお招きして、「アメリカ人のワーク・ライフ・バランス〜なぜ育児支援が少ないのに出生率が2に達しているのか」と題する勉強会を開催しました。

 治部さんはまず、アメリカでは管理職の半数近くが女性であり、さらに大企業の役員に占める女性の割合は15%を超えているなど、アメリカでは女性も積極的にキャリアを追求できること、また白人女性の出生率が1.8に達している(ヒスパニックを含めると2を超える)ことなどについて説明。しかし、「政府の育児支援についてみると、アメリカよりも日本のほうが手厚い」として、一部の先進的な州では育児休業を延ばしたり給与の一部を負担しているものの、連邦レベルでの育児支援は給与補償がない育児休業が12週間あるだけあることを説明しました。

 その上で、治部さんは、政府の育児支援が薄いにもかかわらず、アメリカの女性が子供を産み育てながらキャリアを追求できる要因について、2つあげました。

 一つ目は、「夫婦の関係がより対等」であること。女性の社会進出が少子化や育児のおろそかになる原因であるとの意見に対して、冶部さんは男性と女性の家事・育児時間を比較するデータを用いながら「女性が働くことが子どもをないがしろにするわけではない。きちんと夫が関わるとか、家事を合理化できれば、子どもが犠牲になることはない。なぜ子どもが犠牲になるのかといえば、母親が働くからではなく父親が育児に参加できないからである」と指摘しました。また、「アメリカで男性が家事や育児をやっているのは、女性もちゃんと稼ぎ続け、それを責任として果たしているから」として、2人以上の子供を持ちながら、妻のキャリアを優先させるために自分の働き方を変えたり、家事を引き受ける代わりに女性にフルタイムで働くことを求める男性の例をあげながら、「女性の家計責任」と「男性の家庭責任」は表裏一体の関係であると指摘しました。

 二つ目は、「労使関係がより対等」であること。アメリカのほうが日本よりも労使関係が自由で、また成果主義が徹底しているため、これまでの自分の実績に見合った条件を提示して雇用主と直接個別に交渉して、働く環境を勝ち取っているということです。

 治部さんはまた、アメリカで男性の家事育児参加が進んだ背景として、1980年代中ごろからの男性の経済力の低下があり、「アメリカの女性が働いているのは、アメリカ社会が女性に優しいからではなくて、男性の状況が厳しくなって女性が働かざるを得なくなったから。だから男性にも家事育児への参加が求められるようになった」と説明。最近の日本の経済不況の状況が1980年代のアメリカに似てきているとして、「かつてアメリカが共働きになったように、日本でも共働きにならないと生活が持たなくなるのでは」と予想されることを紹介しました。

 そして、日本の育児支援政策について、日本の税負担・国民負担率が低い状況で、北欧並みの政策をとることは難しいこと、しかしアメリカよりは制度的に整っていることを指摘しながら、日本の育児政策には「この社会で子供がいたら楽しく育っていくのではないかと思える信頼というか、雰囲気が、残念ながら今の日本には欠けている」と、制度論に偏りがちな育児政策について注文を付けました。

 治部さんの講演の後で、アメリカと日本の雇用制度と育児への取り組みの違いや、結婚・出産に関連する女性の退職の状況などについて、活発な意見交換を行いました。

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