東北3県の「その時、いま、これから」

 東日本大震災の発生からまもなく1年。被害の大きかった東北3県の現在の復興状況、被災地の声や党・政権へ望むことなどを、畑浩治衆院議員(岩手県連副代表)、今野東参院議員(宮城県連代表)、増子輝彦参院議員(福島県連代表代行)に伺った。(司会・広報委員会副委員長 玉城デニー衆院議員)

左から畑議員、今野議員、増子議員、玉城議員

今それぞれの復興状況

 玉城 ご出身の各県の状況について、率直なお話を伺いたいと思います。

  岩手は幸い交通整備や仮設住宅の建設が早く、三陸鉄道は国の全額負担で2014年4月までに全体が再開します。そして、念願の八戸から仙台までの三陸沿岸道路も全線7年で供用されることになります。地元企業は経産省や水産庁の補助金が回り始めて再開段階に入り、水産加工業で約半分、市場の方は県内13のうち12が再開しています。

 まちづくりや移転計画の調整は大変ですが、3月頃までにまとまればと思います。先行して2地区は設計業務委託の入札が始まっています。

 今野 被災地の要望は魚を捕りたい、米を作りたい、寒さ対策など具体的になってきています。宮城県では、外壁断熱や暖房器具の設置などの寒さ対策は去年のうちに終え、風除け、便座暖房の設置も1月に終わっています。

 インフラ整備ではいま話のあった三陸沿岸道路が昨年11月に着工、震災前からの悲願だった気仙沼大橋も1月に着工し、宮城という地域をどう復興していくかという計画の大枠が進み始めています。

 農地はこれまで1220ヘクタールの営農再開が可能になり、12、13年度にはそれぞれ約5千ヘクタールずつが可能になる予定で、その他中小企業への支援対策も効いてくる頃だろうと思っています。

福島市内の一般住宅除染現場を野田総理とともに視察する増子議員

 増子 福島県はご存知の通り被災地のなかでも特殊な事情で、原発の事故という日本が経験したことのない状況下で200万の県民が日々戦っています。政府は冷温停止状態、ステップ2の達成を宣言しましたが、現状はまったく事故収束という状況ではありません。地域を追われた方々は一日も早く家に戻りたいと願い、それ以外の地域でも放射線量の不安がある。徹底的な除染を進め、皆さんが安心して住める福島県にすることが第一の課題です。加えて農産物の汚染など、多くの問題が複合的にありますから、まだ長い長い復興の道を歩まねばなりません。

 私が心配なのは、事故が風化することです。一部、霞が関や永田町の中にも、福島県だけが何か無理な要求をしているのではないかという空気がある。あらためて皆さんに3・11を思い出していただき、「福島の再生なくして日本の再生なし」という野田総理の言葉を単なるスローガンではなく、現実のものにしてほしいと思います。

行政機関はその時どう機能したか

 今野 被災地ではご遺体をどうするかという問題が発生します。消防や警察、自衛隊らの皆さんが懸命に頑張っていただきましたが、実は葬祭業界の苦労も大変だったんですよ。宮城の葬儀社は震災の翌日には全国に棺を発注し、土葬もしなければならなかったので、社員自ら泥だらけになって穴を掘りました。こうした官製の組織ではない人たちのパワーも多いに発揮されたことを、われわれは知っておかなくてはいけません。

 増子 火葬料の問題も大きかった。自分の住む地域外で火葬をすると高額の火葬料がかかるんです。縦割り行政の一つの弊害で、今回随分リセットしてきましたが、従来の行政の枠組みだけでは復興はなかなか立ち行きません。

 国、県、市町村の縦割り行政は、平時なら多少問題はあっても機能してきましたが、非常時にはそうではなかった。国が講じた政策がスムーズに復興につながる仕組みを再構築する必要があります。福島はこの国会で特措法を作っていただくので、そのなかで規制緩和や税制改革をやらせていただきたい。他の地域でも、今回の復興特区の支援制度だけでは足りないことが出てくると思います。しっかり審議をしながら一緒に進めていきたいですね。

岩手県山田町の避難所で被災者を激励する畑議員(右)ら

  全国からの応援を本当にありがたく思うのと同時に、1日で道路を全部開いてくれた国交省には非常に感謝しております。それがなければ自衛隊も支援も被災地に入れませんでしたから。

 行政の件で加えて言えば、国が融資や補助金の制度を作っても、それが市町村や漁協などの現場にいくにつれてうまく働かないことがあります。説明できなかったり、従来型の運用で頑にやろうとする部分もあり、何かしっくりせずに不満が高まっている。そこは行政がもう少し現地に出向いて、書類の書き方など、かゆいところに手が届く説明をしてほしい。制度を作っておしまいではなくてね。

 増子 私は中小企業庁に、福島県にもっと入って業界団体や個人にいろいろと教えてほしいとお願いをしました。すると、県が消化できていなかった制度も浸透して、グループ補助金もたいへん人気でした。

先端地域としてより良い東北の再生へ
これからの復旧・復興とエネルギー政策

  震災からただ復旧するのではなく、より良い東北を作りたい。原発に変わる自然エネルギーで言えば、東北は地熱の資源量が大きく、太陽光も風力もかなり使える地域です。そこをしっかり研究開発して実用化したい。観光の面では「三陸復興国立公園」構想があり、新しいエコツーリズムの仕組みも考えています。私たちが最先端の地域として復活し、新しい供給をすることが、支援のご恩返しだと思います。

宮城県石巻市の仮設渡波第一団地で住民と意見交換する今野議員(中央右)ら

 今野 日本のノルウェーと言われた三陸の地域を、一日も早く復興して見せなければなりません。水産業の復興グループへの予算付けは大変ありがたいことです。ただ、比較的立ち上がりやすい大手だけではなく、個人の水産業者の思いもどれだけ吸い上げられるかが大事で、そうした経験から復興の仕方を記憶し、いざという時に備えておくべきでしょうね。

 増子 今までの行政の枠組みだと、やりたいと思ってもできないことが多い。一方で民間では、外交評論家の岡本行夫さんの主導でコンテナを冷凍庫に仕立てて各地に置き、三陸の水産業の人たちの操業をずいぶん助けたという実績があります。こういう非常時から立ち上がるときは行政もあまり規制をかけず、いろいろなことをしてもらうのが大事でしょう。落ち着いた段階で改めて法の見直しをすればいいと思うんですね。

  個々に見るとJRの復旧が遅いけれど、民間の黒字企業であるがゆえに、そこへの支援は無いんです。

 今野 津波の被害を受けて、新たに土地を取得して線路を引かなきゃならない場合もあるわけですよ。そこは何か考えなければいけないんじゃないですかね。

 玉城 畑先生のお話にあったように、エネルギー政策の見直しも急務ですね。

 増子 党としても政府としても大きな命題です。私も福島の県民として脱原発ですよ。民主党は政権を得る前から、温室ガス対策を含め再生可能エネルギーに取り組んできましたが、今後はかなりスピードアップしていかないと、今日本のエネルギー政策の根幹が揺らいでいるわけですから。地熱発電については超党派の普及推進議員連盟を作ってかなりの予算も確保しましたし、小水力、バイオマス、太陽光、風力、洋上風力とまさに東北は再生可能エネルギーの宝庫。力を合わせてそれぞれの地域に拠点を作り、産業創出、雇用、環境に結びつけていきたいですね。

  思いは皆同じです。長期的には脱原発に異存のある人はいないはずなんですよ。再生可能エネルギーの方向への努力は、今回の震災で得た教訓だと思います。

 今野 そういう議論が、これだけの事故を経験しているにもかかわらず盛り上がりに乏しい。地方のマスコミは特に電力会社がものすごく大きなスポンサーだから、遠慮があるのかもしれないが、今こそ取り上げなくてはいけないテーマだと思う。

 増子 政治家の発信力も弱いね。個々の議員としても、党としても「発信力」をどう強めていくか。どんな発信をすれば国民の理解を得られるか、工夫が必要でしょう。

 特に若い議員の皆さんにお願いしたいのは、要望・陳情を受けっぱなしにせず、結果にかかわらず必ず返事をすること。「聞くだけで何もしてくれない」という批判が非常に多いですから。農水省は要望されたことには必ず大臣名で返事をくれます。発信力をもって相手に伝えていけば、議員が頑張っている姿が見えると思うんですよ。

党として明確な取り組みを

  制度を作って予算を付けたら復興は一段落、という中央の政界の空気には、不満があります。具体的に着手していくのはこれからです。そこを忘れずに、今年の最大の政策課題は復興だと皆が思ってくれれば良いのですが。

 今野 よく「被災地に寄り添う」という表現をするれけど、ならば復興庁は被災地に作ってほしかったですよね。震災1年の慰霊のセレモニーも東京でやるそうですけど。

 増子 東京にというのは不満ですが復興庁ができ、とりあえず10年という期間が決められていますから、このなかで被災地の復旧・復興の一定のめどがきちんと立つように、我々は政権与党として尽力したいと思います。過去の枠組みを超えて大胆にやらないといけない。だから、復興庁、復興局には本当に「権限」を与えないと。

 今野 対応は素早く大胆に、柔軟に、しかし丁寧にですね。

 玉城 今お話に出たことについて、地元議員として対応するだけでも大きいテーマですね。本日はありがとうございました。

(プレス民主2月17日号より)