東日本大震災の復興政策の司令塔として復興政策の企画・調整にあたっている平野達男・東日本大震災復興担当大臣に、震災復興への政府の取り組みについて、経過と現状、今後の課題について寄稿していただいた。
平野達男東日本大震災復興対策担当(内閣府特命担当大臣) 東日本大震災復興特別区域法案の趣旨説明を参院本会議で行う 11月30日
はじめに
マグニチュード9.0を記録した東日本大震災は、その被害が極めて広域に及ぶだけでなく、大規模な地震・津波に加えて原発事故が重なるという未曾有の複合的な大災害であり、いわば「国難」です。
発災以来これまでに合計1万5千人を超える尊い命が奪われ、いまだに3500人以上の方々が行方不明となっています。この場をお借りして、改めて、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、全ての被災者の方々にお見舞い申し上げます。
復旧の状況
発災後、政府を挙げて、被災地の復旧・復興対策に取り組んできました。避難所の解消と仮設住宅の建設、散乱がれきの撤去、主なライフラインの復旧などについて、一定の成果を挙げています。
避難所の解消については、発災直後には約47万人の方々が避難所(公民館・学校)、旅館・ホテル、親族宅等での生活を余儀なくされていましたが、その後の応急仮設住宅の着工・完成などに伴い、現在その数は約1万8436人にまで減少しました(図表1)。
次に、散乱がれきについては、居住地近傍のものは、8月末までに警戒区域等を除く全ての市町村で撤去が完了しました。散乱がれき(建物解体により発生するがれき量を除く)の全体としても、被災3県ベースで撤去率は95%に達しています(図表2)。今後は、大型の被災建築物などを解体して仮置場へ搬入するとともに、最終処分を進めていきます。
さらに、ライフライン・インフラの復旧については、電気・LPガス・水道・通信・道路(直轄国道)・鉄道(在来幹線)・高速道路・新幹線・空港・海岸堤防などが100%又は95%以上の復旧率に達しています。また、港湾については、全ての港湾において一部の岸壁が利用可能となっています。11月29日には、今後の復旧・復興事業のスケジュールを明示した工程表等を公表したところであり、これに基づき復旧・復興施策を更に推進していきます。

復興に資する施策を重点措置した第3次補正予算
東日本大震災関係経費等を計上した、総額12兆円規模の平成23年度第3次補正予算が、11月21日に成立しました。東日本大震災と原子力災害からの本格的な復興予算として、「復興の基本方針」に基づき、真に復興に資する施策を重点的に措置したものです。
第3次補正予算では、インフラ整備などに関連する補助金を一括化し、使い道の自由度を高めた「震災復興交付金」(約1.6兆円)や、復旧・復興関連の地方財政負担を実質ゼロにするための地方交付税の加算(約1.7兆円)を盛り込み、地方主体で地域の再生を担えるよう配慮しました。また、予め償還の道筋を定めた復興債の発行等により、国が必要な財源を確保することとしました。
野田佳彦総理、黄川田徹総務副大臣とともに宮城県気仙沼市、岩手県陸前高田市の被災現場を視察。
生活再建に向けて
被災地における生活の再建に向けては、雇用の確保、いわゆる二重ローン問題の解決、医療の確保などが喫緊の課題です。
雇用の確保については、製造業や水産業などを復活させることが不可欠です。被災した工場や商店街が再開することほど勇気づけられることはありませんし、民間の活力なくして復興はあり得ません。このため、インフラの復旧・復興、水揚げ港での冷凍・製氷関連施設の整備、中小企業の再生などを強力に進めていきます。
二重ローン問題については、既に被災各県で設置が進んでいる産業復興機構に加え、被災した事業者を救済する「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法」が11月21日に成立したところであり、これらの機構を通じて、金融機関からの被災事業者向け貸出債権の買い取りなどの支援を進めます。
医療の確保については、医療施設の速やかな復旧を図るとともに、医療関係団体から成る「被災者健康支援連絡協議会」の協力を得ながら、医師や看護師などの医療従事者を確保して、被災地の医療提供体制の再構築を進めます。また、被災者の孤立防止と心のケアへの取り組み、これから本格化する寒さへの対策支援なども行っています。
さらに、東北の復興のためには、観光の振興が欠かせません。風評被害により、被災地における観光客は大幅に減っていますが、安全性をアピールすることにより、国内外からの観光客が再び被災地を訪れるようにします。
復興計画の策定を後押し
復興の鍵となるのは、被災市町村による復興計画の策定であり、なかでも土地利用計画の作成を急ぐ必要があります。地区別の工程表を踏まえつつ、災害に強い街づくり、次世代をにらんだ街づくりを、いかに進めていくか。住居の高台移転なども含めて、街を根本からつくり変える作業になり、拙速は許されない反面、スピードも求められます。復興の主役となるべきは地域ですが、複雑な権利調整や土地利用計画など乗り越えるべき多くの課題があることから、国としても県や市町村に職員を送り、パートナーとして取り組んでいきます。
また、規制・手続等の特例措置、税・財政・金融上の支援措置をワンストップで講じる復興特区制度や、復興に必要な各種施策を展開できる自由度の高い復興交付金の創設を内容とする、復興特区法が今国会で成立しました。先例にとらわれないこれらの枠組みを活用して、復興を加速させていきます。
福島の復興と再生
福島の復興・再生の大前提となるのは、一刻も早く原子炉を冷温停止状態とし、原発事故を収束させることです。また、安心・安全の確保のため、放射線量のモニタリングや県民の健康管理、除染などに取り組んでいます。とりわけ、除染の本格実施に向けては、第3次補正予算や来年度予算要求などで、総額1兆1千億円規模の措置を講じています。除染モデル事業も11月から始まっており、引き続き国が責任をもって除染に取り組んでいきます。
福島の地域経済再生に向けては、県からの要望を踏まえ、第3次補正予算において復興基金の造成など総額約5340億円を措置し、医療や再生可能エネルギーといった新たな産業・雇用の創出や企業立地に向けた取り組みなどを図ることとしています。さらには、福島県が置かれている特殊な事情に鑑み、その対策を講じるための特別立法が必要と考えており、次期通常国会に法案を提出できるよう検討を進めています。
本格復興へ使命感
復興に当たって自分たちの地域をどのようにつくり直すかは、地域の方々自らが決めるのが原則です。政府としても地域の自主性を最大限尊重しながら、地域の取り組みを支援していきます。今後も担当大臣として被災者の皆様方の声に耳を傾け、被災地の本格的な復興に向けて、使命感と責任感をもって取り組んでまいります。