歯科口腔保険推進法について討議する関係議員

歯科口腔保険推進法について討議する関係議員


 歯科口腔保健推進法が今国会で成立し、歯科医でもある民主党国会議員(写真左から川口浩、大久保潔重、西村まさみ、水野智彦)が意見交換をした。「永年の課題だった。政権が代わり、理解が浸透した。その結果、立法が可能となった」「国民に歯科医療の重要性を理解してもらい、予防医療として注目が集まっていく」などの見解がまとめられ、衆院厚生労働委員会筆頭理事の渡辺周議員が8日、民主党役員に法整備の意義を伝えた。


 大久保参院議員は、「平成19年11月、野党時代の『次の内閣』の医療介護作業チームの歯科医療担当委員会で、本法案を議員立法で策定したのが最初のきっかけ。2回廃案になりましたが、今回全会一致で成立した事を大変うれしく思います」。
 西村まさみ参院議員は、昨年当選して初めて議員立法を経験した。「多くの方の支援を頂きながら、やっとできたという気持ちが強い。国民の歯科医療、健康につながった」と喜びを語る。
 川口浩衆院議員は、「民主党では2000年頃から、医師でもある桜井充参院議員が取り組んできた。これまで関わってこられた方々のご尽力に頭が下がる思いだ」。水野智彦衆院議員も「今国会の政局の中で、成立が危ぶまれた時期もあったが、歯科出身議員や日本歯科医師会・日本歯科医師連盟など一致協力の下、法案の成立を見ることができた」と各方面の協力に感謝の意を表した。
 現実に歯科医師として活動されていた経験と今回の立法とのつながり、今後の課題について4名の国会議員に聞いた。
 【大久保】臨床をやっていた時に、歯のかみ合わせと全身の健康との関係を大きなテーマとして取り組んできた。歯のかみ合わせを整えることで、検査で見つからない体調の悪化が改善される例を多くみてきたこともあった。より口腔と全身の健康の研究を進めていくべきだと考えていた。法案の中にそうした想いが反映され、うれしく思っている。そしゃく機能などの文言が、自民党の修正によって削除されたことは残念だったが、この法律を後ろ盾に、具体的な施策が実現できるよう努力していきたい」
 【川口】高齢化社会の中で、在宅医療が今後の基本となっていくと思うが、歯医者に診てもらえないために辛い思いをされてきた方がたくさんいる。高齢になっても、楽しくきちんとかんで、おしゃべりして飲み込むための口腔の健康を維持することが大事だということを、広く知ってもらえる機会となる。
 予防としての観点から、働き盛りの時に歯科の健診を充実させることが、歯周病と脳卒中の関係などをとらえていく機会となるのではないか。
 検査に関して言えば、医科は結果を数字で表すことができるが、歯科に関しては数字で表せること手段がほとんどない。国や自治体が財源的な支援をすることで、歯科の検査結果を分かりやすく、数字で表せることを実現させるために国や自治体が財源的な支援をしてほしい」
 【西村】法案成立目前の頃に、歯科医師だけでなく、国会議員、地方議員など多くの方から反響があった。歯科医療に携わる者が、この法律ができることで、歯科が前向きに医療や保健制度に前向きに取り組んでいくことができる一歩となった。これまで不十分だった歯科医療の環境や提供体制が整えられていく。県の条例が19から20になり、国が整備することで自治体にとっても市民町民の方にプラスの方向にむく。
 【水野】本法律は、国民に歯科の重要性を理解してもらえる大きな機会となる。これまでの歯科医療の病を治すだけでなく「病気にならないための医療」が担保され、予防としての歯科医療を安心して行える窓口となるのではないか。また全ての年齢層への歯科検診や口腔ガン検診を充実させ、障がい者や訪問診療の環境整備の推進のきっかけとなっていくだろう。関係者と協力しながら早期に施策の具体化を実現していきたい。
 【川口】生きる上で最も大切なのは自分の口から食べること。他の消化器と比べると忘れがちであるが、口腔は食べるための入り口であり、非常に大事な機能を担っている。歯科治療・口腔ケアの重要性について医科の現場・介護の現場・教育の現場等々、広く周知されるためには、今後、本法律をどのように活用するかが、私たち歯科医師の課題だろう。
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 「歯科口腔保健推進法」とは、歯科疾患の予防などを推進し、口腔の健康保持を総合的に行うための法律。8月2日の衆院本会議で、全会一致で可決、成立した。概要は以下の通り。
一 歯科口腔保健の推進に関する施策の基本理念
  1. 国民の、生涯にわたる日常生活における歯科疾患の予防、早期発見、早期治療を促進する。
  2. 乳幼児期から高齢期までの口腔の状態、歯科疾患の特性等に応じ、歯科口腔保健を推進する。
  3. 保健、医療、社会福祉その他の関連施策の連携を図りつつ、総合的に歯科口腔保健を推進する。
二 国、地方公共団体等の責務等
  1. 国は、基本理念にのっとり歯科口腔保健の推進に関する施策を策定・実施する責務を、地方公共団体は、基本理念にのっとり国との連携を図りつつ地域の状況に応じた施策を策定・実施する責務を有する。
  2. 歯科医師その他の歯科医療等業務従事者は、医師その他関連する業務従事者と緊密な連携を図り適切に業務を行うとともに、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力するよう努めるものとする。
  3. 法令に基づき国民の健康の保持増進のために必要な事業を行う者は、国及び地方公共団体が歯科口腔保健の推進に関して講ずる施策に協力するよう努めるものとする。
  4. 国民は、歯科口腔保健の正しい知識を持ち、生涯、日常生活で自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行い、定期的に歯科検診を受け、必要に応じ歯科保健指導を受け、歯科口腔保健に努めるものとする。
三 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の策定等
 厚生労働大臣は、歯科口腔保健の知識等の普及啓発等の施策の総合的な実施のための方針、目標、計画その他の基本的事項を定めるものとし、都道府県は、厚生労働大臣が定める基本的事項を勘案し、地域の状況に応じ、施策の総合的な実施のための基本的事項を定めるよう努めなければならない。都道府県等は施策の実施のため、歯科医療等業務従事者等への支援を行う口腔保健支援センターを設けることができる。